最初の葬儀のことは、細かいことはあまり覚えていません。
何を食べたかも、誰とどんな話をしたかも曖昧です。
覚えているのは、とにかく眠かったことです。
私はこれまで、家族や親族の葬儀を喪主側として5回執り行ってきました。
このブログはいつも書いているように、親戚がたくさんいて役割分担ができる家の話ではありません。
親世代の仲はあまり良くなく、集まるのは行事のときだけ。
兄弟は一人か二人。
そんな「人手のない家」で葬儀を回してきた側の話です。
5回経験して、一番きつかったことは何かと聞かれたら、私は迷わず「休めないこと」と答えます。
葬儀の日は早朝から動きます。
沖縄は火葬から納骨まで一日で行うことが多いので、終わる頃にはもう何も考えられません。
そのまま2日か3日は、ふらふらしています。
それなのに、終わったら終わりではないんです。
香典の整理をして、お礼の準備をして、香典返しを発注して、仕出しやレンタル品の予約をして。
業者さんとの打ち合わせが、休む間もなくまた始まります。
気がつくと6日目になっていて、また人が集まります。
悲しむ暇がないという言葉はよく聞きますが、本当にその通りでした。
ひたすら対応しているうちに時間が過ぎていきます。
人手のある家なら何人かで分けられるはずのものを、少人数の家では同じ数人が浴び続けることになります。
だから今なら、削れることは全部削ります。
料理も業者に頼るし、返礼品も任せるし、人に頼めることは頼ります。
四十九日まで走り切るためには、それくらいでちょうどいいと思っています。
もう一つきつかったのは、相談する人がいないことでした。
病院で亡くなったあと、その場で葬儀社に連絡します。
そこからは、日程、会場、規模、お坊さんの手配、供え物、費用。
全部を決めていかなければいけません。
判断の連続なのに、隣に年長者がいないんです。
祖母や曾祖母の時代は、親の兄弟がまだ大勢いました。
誰かが段取りをして、誰かがお坊さんに連絡して、誰かが料理を見ていました。
でも年月がたつと、それぞれの家に仏壇や事情ができて、分担はなくなっていきます。
母方の祖母の葬儀では、手伝いはほとんどありませんでした。
遠方の葬儀社まで3日間通って、ほぼ全部を自分たちで動きました。
あの経験で分かったのは、今の葬儀社は本当に頼れるということです。
昔とは違います。
通夜も式場でできますし、道具の貸し出しもあります。
法要の流れも教えてくれるし、お坊さんを紹介してくれることもあります。
相談役がいないなら、葬儀社を相談役にすればいい。
これは実感として思っています。
それから、人手が少ない家で本当に困るのは、「動ける人」が足りないことです。
死期が近いと分かってからも、やることは並行して押し寄せます。
病院に誰かが付き添っている間に、銀行へ行って当面のお金を下ろして、買い物をして。
二人しか動ける人がいないと、それだけでも限界です。
そして当日になると、受付の問題が出てきます。
近い親族は読経の間、式場の中にいなければいけません。
すると受付に立つ人がいないんです。
祖母の葬儀では新聞にも出していなかったのに、十数人の方が来てくださいました。
受付をお願いしていなかったので、駆けつけてくれた私の知人が、その場で香典を預かってくれました。
今思い出しても、綱渡りでした。
親戚が大勢いる家では、この問題があること自体、たぶん知られていないと思います。
受付については書きたいことが多いので、別の記事にまとめます。
意外だったのは、火葬の日程を自分で決められないことでした。
火葬場が空いていなければ、葬儀の日程そのものが組めません。
親族の葬儀では、地域の火葬場に空きがなくて、空いている日を他所まで探して、一週間近く待ちました。
冬でしたし、小さな安置室にドライアイスを入れて待てたので、何とかなりました。
これが夏だったら、あるいは大きな安置施設だったら、保管料も電気代もかなり違っていたと思います。
日程が読めないということは、費用も読めないということでした。
最後に残るのが、参列してくださった方への対応です。
誰が来てくださったか。
香典はいくらいただいたか。
御礼状はどうするか、香典返しはどうするか。
少人数の家では、この記録がその後の全部の土台になります。
受付が慌ただしいと、そのあとも全部慌ただしくなります。
元気なうちにできること
暗い話ばかり並べましたが、明るい材料もあります。
家族葬のCMが流れて、専門の業者も増えて、葬儀の規模も形も選べるようになりました。
参列する側も現役で働いていたり、親世代は入院や施設で暮らしていたりで、「知り合いだから」と大勢が集まる時代でもなくなってきています。
小さく送ることは、もう特別なことではありません。
だからこそ、元気なうちに少しだけ準備しておくと違います。
- 葬儀社の資料を取り寄せておく(家族葬プランだけでも)
- 当面のお金をどこから出すか、家族で確認しておく
- 受付を頼めそうな人を、一人だけでも考えておく
これだけでも、本番の判断がずいぶん楽になります。
5回経験して思うのは、葬儀で一番怖いのは「何も知らないこと」ではありませんでした。
疲れ切っているのに、休めないことです。
私は毎回、そこでいちばん消耗しました。
だから今は、休めるときに寝ることにしています。
※これは我が家の経験を書いたものです。地域や門中、家庭によって進め方は違いますので、ご自身の家のやり方は年長の方に確認してください。
※暗い話を並べましたが、明るい材料もあります。頻繁に家族葬のCMが流れ、専門業者が増え、葬儀の規模も形も選べる時代になりました。参列する側も現役で働いていたり、親世代は入院や施設暮らしだったりで、「知り合いだから」と大勢が参列する時代でもなくなってきています。小さく送ることは、もう特別なことではありません。だからこそ、元気なうちの少しの準備です。



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