葬儀の受付を頼まれたときのこと。現金を預かる仕事でした

白いテーブルクロスの上に置かれた白菊 葬儀

少人数の葬儀では受付を頼める人がいなくて詰む、という話を前に書きました。

今回はその続きです。 受付を引き受けた後の話になります。

私はこれまでに、葬儀の受付を3回ほど担当しました。

最初は20代の初めです。 まだ自宅での告別式が珍しくなかった頃でした。

玄関先に提灯と白黒幕、庭にはテント。 そこで受付をしました。

今思えば、よく何の予備知識もなく立っていたなと思います。

当時は、受付って香典を受け取って名前を書いてもらうだけでしょ、くらいに思っていました。

でも、実際にやってみると違いました。

葬儀の受付は、現金を預かる仕事です。

そして現金を預かるということは、何かあったときに、預かった人が説明する立場になるということです。

善意で引き受けただけなのに、数が合わなかったら困ります。 記録がなければ、あとから確認もできません。

思っているより気を使う仕事なんです。

頼む側も、引き受ける側も、そこだけは分かっておいたほうがいいのかもしれません。

受付には、意外と人が必要

葬儀場で受付をする場合、最低でも2人はいたほうがいいと思います。

記帳の案内をして、香典を受け取って、場合によっては香典返しにつながる券を渡す。

これを一人でやっていると、トイレにも行けません。

焼香が始まれば、近い親族は式場の中に入ります。 受付には残れません。

つまり受付を頼むなら、遺族ではないけれど信頼できる人が必要になります。

大きな葬儀になると、もっと人数が必要です。

以前、会社関係の葬儀を手伝ったときは、受付だけで何人もいました。

記帳をお願いする人、香典を受け取る人、駐車場を見る人、出口で香典返しを渡す人。

複数人分の香典をまとめて持ってくる方もいます。 その場合は、預かった人数分の券を渡して、帰りにその人数分のお返しを渡します。

沖縄の葬儀では、家族や近所の人の分までまとめて香典を持ってくる方がいるので、この「まとめ預かり」は覚えておいたほうがいいと思います。

こうして書いてみると、受付って結構ちゃんとした仕事なんですよね。

怖いのは、盗まれることだけではない

もちろん、現金を扱う以上、盗難は考えなければいけません。

でも、私が受付をやってみて、こっちも怖いなと思ったのは、数が合わなくなったときのことです。

たとえば、香典袋が10個ある。 記帳も10人。

ところが、お金を確認したら合わない。

そうなったとき、一人で受付をしていたら、私はちゃんと預かりました、と言っても、それを証明する人がいません。

善意で受付を引き受けた人が、あとから疑われるような状況になる。 誰にとっても嫌なことです。

だからこそ、できれば二人で確認する。

単純な話ですが、大事だと思います。

実際の受付では、こんなことが起きる

受付を何回かやっていると、ああ、こういうこともあるのね、という場面があります。

ひとつは、香典を出したかどうか、本人も分からなくなることです。

さっき香典を渡したと思うけど、どうだったかね。

高齢の方などでは、こういうことがあります。 逆に、香典を出さないまま中に入って、帰りに香典返しだけ受け取ろうとされることもあります。

悪意があるわけではありません。 ただ、現金が絡むので、記録がないと確認できません。

受付を通らず、そのまま入っていく方もいます。

あら、受付はどこね。

そう言いながら、そのまま式場に入っていく。 後から、忘れていたさ、と香典を持ってきてくださる方もいました。

だから受付は、入口に分かる形で置いておいたほうがいいようです。

それから、まとめて預かった香典は、後で分からなくなりやすいです。

近所の○○さんの分も預かってきたよ。 親戚の分も一緒に持ってきたよ。

ここで何人分なのかを確認しておかないと、後から、何人分だったっけ、となります。

渡した側も受け取った側も覚えていない、ということが普通に起こります。

だから、○名様分ですね、と、その場で声に出して確認する。

地味ですが、こういう確認が一番大事なんだと思います。


そして、受付を用意していないと、誰でも受付になれてしまいます。

これは祖母の葬儀のときに感じたことです。

家族葬のつもりだったので、受付を用意していませんでした。 ところが、予想していなかった方が何人も来てくださいました。

入口で、香典はどこに渡すのかね、と皆さん困っている。

それを見かねた知人が、その場で受付のように立ってくれました。 そして皆さん、当然のようにその人に香典を渡していきました。

その方が知人だったので、何も問題はありませんでした。

でも後から考えると、受付が決まっていないということは、誰でも受付になれてしまう状態なんだなと思いました。

これは少し怖いです。

小さな葬儀でも、一般の参列者が来る可能性があるなら、受付だけは誰が担当するのか決めておいたほうがいいのかもしれません。

私が受付をするときに気をつけていること

何回かやってみて、結局大事なのは、その場で確認することだと思っています。

できれば一人で立たない

最低2人。 これだけでかなり違います。

お互いが確認役になりますし、トイレにも行けます。

十数人程度の身内だけの小さな葬儀なら臨機応変でもいいと思いますが、一般の参列者が来るなら、二人いたほうが安心です。

名前を確認する

香典袋の名前が読めないことがあります。

達筆すぎて読めない。 名字しか書いていない。 住所もない。

こういうときは、すみません、お名前は何とお読みしますか、と聞くしかありません。 場合によってはカタカナでメモしておきます。

これを適当にしてしまうと、後になって喪主が困ります。 この人、誰だっけ、となったら、お礼状も出せません。

喪主のおばさんに言えば分かるよ、と言って住所を書かない年配の方もいます。

分かりません。 本当に分からないので、分かるようにしておいたほうがいいです。

まとめて預かったら、その場で人数を確認する

3人分ですね。 はい、3人分です。

と声に出して確認します。 預かり券があるなら、その人数分を渡します。

これだけでも、後の混乱がかなり減ります。

香典が2つある場合は、別々にしておく

最近は、告別式と同日に初七日などの法要を行うことも多くなりました。

そのため、これは四十九日分です、と香典を2つ出される方もいます。

同じ名前の袋が2つあると、後で見たときに分からなくなります。 輪ゴムでまとめてメモをつけるなど、区別しておいたほうがいいです。

香典返しを2つ渡すのかどうかは家によって違うので、ここは喪主側に確認します。 私が受付をしたときは、1人分として扱いました。

最後は、その場で数を合わせる

これが一番大事だと思っています。

参列者が落ち着いたら、記帳と香典袋の数を確認します。

住所が香典袋に書かれている場合は、受付側が後から記帳に転記することもあります。 これも受付の地味な仕事です。

そして、記帳○件、香典○袋、と二人で確認する。 そのうえで喪主側に引き渡します。

後で数えるのではなく、その場で確認して終わらせる。 これが一番安心でした。


もしこの記事を、葬儀を出す側の人が読んでいたら。

受付を誰かに頼むというのは、ちょっと受付に立っていてね、という話ではないのだと思います。 現金を預かってもらうということです。

二人でお願いできますか。 預かり券はこれです。 終わったら私たちにこうやって渡してください。

最初にこれだけ説明しておくと、引き受ける側はずいぶん安心するはずです。

祖母の葬儀のときは、そもそも受付を用意していませんでした。 だから知人が、突然その役を引き受けてくれました。

私は後からまとめて受け取ることしかできませんでした。

数が合うとか合わないとか以前に、よくあの状況で引き受けてくれたなと思います。 今でもありがたかったと思っています。

こういうときに助けてもらった経験があると、自分も誰かの葬儀では手伝える側にいたいと思うものです。

沖縄にはユイマールという言葉がありますが、こういうことも含まれるのかもしれません。

最後に、ものすごく地味なこと

疲れたら座ってください。

これです。

葬儀の受付は、思っている以上に長時間になります。

立ちっぱなしで、次々に人が来て、名前を確認して、お金を預かって、記帳を見て。

疲れてくると、どうしても確認が雑になります。

葬儀の日は、受付をする人も手伝う側だからと無理をしがちです。 でも、ぼんやりした頭で現金を扱うほうが怖いです。

椅子があるなら座る。 交代する。 水分を取る。 トイレも我慢しない。

受付を引き受けた人が倒れないことも、ちゃんと仕事のうちなのだと思います。

少人数の葬儀では、誰か一人にいろいろな役割が集中します。

手伝ってもらえるだけありがたい、とばかり思っていた頃は、頼んだ相手が困っていることに気づけませんでした。

3回やって、ようやくそこが見えるようになった気がします。

※この記事は我が家の経験をもとに書いています。地域・門中・葬儀社によって進め方や受付の方法は異なりますので、実際の葬儀では担当の葬儀社にご確認ください。

香典受付で守るべき5つのルールを示した図

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