9月になると、旧盆が終わったと思ったら、また別の行事がやってきます。
彼岸と、十五夜です。
子どもの頃から母が、もうすぐ彼岸だから、十五夜だから、と何かと言っていました。 だから言葉自体は昔から知っています。
でも、何をする行事なのかは、よく分かっていませんでした。
仏壇に餅か何かを供える日。 私の認識はその程度です。
仕事や子育てで忙しい時期は、親がやっていることを横から見ているだけでした。 自分から関わることもありません。
沖縄には、こういう何となく知っているけれどよく考えたことのない行事が、結構あります。
旧盆が終わって、やっと落ち着いたかなと思う頃にやってくるのが十五夜です。
沖縄では、十五夜にふちゃぎを供えます。
餅に小豆をまぶした、あの食べ物です。
子どもの頃の私は、このふちゃぎが苦手でした。
餅は好きなのに、周りについている豆に甘みがない。 なんでこんなものを食べるんだろう、と思って、ほとんど食べませんでした。
ところが母は、こういうものには妙にこだわります。
昔、何軒かのスーパーからふちゃぎを買ってきて、食べ比べをしていたことがあります。
ここのは豆が多い。 こっちは餅が柔らかい。そんなことを言っていた記憶があります。
私は横で、どれも豆がついている時点で食べたくないと思っていました。
そういえば私も、旧盆のジューシーで同じことをしました。
血は争えないのかもしれません。
今なら、沖縄版のお月見団子のようなものだと思えば分かりやすいのかもしれません。
本土のお月見では月見団子を供える。 沖縄では十五夜にふちゃぎを供える。
そして仏壇にも供えて、豊作を願ったり、家族の健康を願ったりします。
子どもの頃は、何のための行事なんだろう、面白くないな、と思っていました。
その見え方が少し変わったのは、子どもができてからです。
秋になると、季節の行事として保育園でお月見会がありました。 団子を作ったり、ゲームをしたり。月は見たっけな?露店でくじ引きやかき氷をしてて忙しかったから覚えてないや(^^;
ああ、こういうことを子どもに経験させるんだな、と思いました。
そして沖縄には沖縄の十五夜がある。 それがふちゃぎだったわけです。
もっとも、私は今でもふちゃぎは苦手です。
餅だけなら食べるのですが、あの豆がどうしても食べられなかったです。
最近はふちゃぎをアレンジした商品もあるようです。 餅好きな人には、いろいろ楽しみ方があるのだと思います。
私はたぶん、昔のままのふちゃぎを横目で見ながら、別のお菓子を食べると思います。
今年は彼岸と十五夜が重なりました
この時期になると、もう一つ始まることがあります。
母の、仏壇にも供えないと、です。
自宅の仏壇だけならまだいいんです。 母方の実家の仏壇にも供えないといけません。
向こうの仏壇にも持っていかないと。
毎年これが始まります。
母が元気だった頃は、母がやっていたことです。 でも年を取ってくると、こういう細かい行事もだんだん子どもの側に回ってきます。
今年の秋彼岸は9月20日から26日まででした。 十五夜は9月25日です。
別々の行事ですが、今年はちょうど重なっていました。 だから、もうまとめてしまいました。
彼岸の前半にスーパーへ行って、ふちゃぎとお供え用のものを買う。 果物やお菓子も少し。
それをまとめて母に渡して、あとはよろしく。
と言いたいところですが、母方の実家の仏壇の分もあるので、こちらも一緒に用意します。
昔だったら、それぞれの日に、それぞれのやり方でやっていたのだと思います。
今の私は、できる範囲でまとめる。 それでも仏壇にはちゃんと供える。
このくらいでいいかな、と思っています。
本来の沖縄の行事としては、十五夜も彼岸も、仏壇に物を供えるだけのものではありません。
屋敷の拝みなど、いろいろな御願(うがん)が関わってきます。
地域によっても、家によってもやり方が違います。
私自身も、母がやっているのを見てきただけです。 細かい意味や手順を全部覚えているわけではありません。
これは何のためにやっているんだろう。
そう思っていた子どもの頃の自分が、今度は、これ、私が覚えておかないといけないのかな、と考える側になっている。
人生って、こういうものなのかもしれません。
旧盆が終わったと思ったら、彼岸が来て、十五夜が来る。
沖縄には似たような季節の行事が、本当にたくさんあります。
全部を昔と同じように引き継げるかと言われると、正直、自信はありません。
それでも、仏壇にふちゃぎを供える。 果物を供える。 手を合わせる。
今のところ私にできるのは、そのくらいです。
第二次ベビーブーム生まれの私たちの世代は、たぶんこれから、残すものと簡略化するものを選んでいくのだと思います。
昔は面倒くさいと思っていた行事も、なくなってしまうと少し寂しい。
だから、とりあえず今年も仏壇にふちゃぎを置きました。
食べなかったけどね。
※この記事は我が家のやり方をもとに書いています。彼岸や十五夜の供え方は地域や家によって違いますので、ご家庭のやり方を優先してください。


コメント